開発業者優先のまちづくりルールを問う

1月24日に旧横浜プリンスホテル跡地開発に取り組んでいる「横浜市の風致地区を守る会」主催で、「景観と住環境を考える全国ネットワーク」代表の日置弁護士と横浜弁護士会環境法実務研究会の宮澤弁護士を招いて公開セミナーが開かれました。

低層住宅地に突然高層マンションが建ったり、歴史的な町並みや貴重な自然環境が破壊されていく全国各地の事例が紹介されました。訴訟を起こしても鞆の浦のように景観を勝ち取る事例は極めて稀で、行政の裁量が広く認められているために違法とまでは言えないと判断されることが多いということです。根底にあるのは、公共性より私的所有権が優先され建築は原則自由という日本の制度です。さらに中曽根首相のときには経済成長ために、バブル崩壊後は小泉改革で、景気が良くても悪くても規制緩和を繰り返してきました。都市計画提案制度や都市再生特別措置法は開発促進に利用されています。総合設計制度(横浜では環境設計制度)により、市民の常識と乖離した建築ルールで開発計画が進んでしまっています。人口減少社会において将来を見据えた都市計画の見直しが求められています。また、地域住民が関与してまちづくりを進めるために、都市計画・まちづくりの分野でも分権が必要です。

磯子三丁目地区(旧横浜プリンスホテル跡地)開発については、開発業者の提案を多少修正したものが市の都市計画提案として提示され、2月19日に公聴会が開催される予定です。風致地区の高さ制限を緩和して高層マンション群の建設を容認する点を中心に、市の姿勢を問いただしていきたいと考えています。

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