旧プリンスホテル跡地開発問題

都市計画審議会は単なるセレモニーでは!?

風致地区を含む地域に1250戸の高層マンション群を建設するという開発業者の計画は、若干の修正を加えて横浜市の地区計画案として提案されました。説明会、公聴会、縦覧などの手続きを経て、7月5日の都市計画審議会に諮問され、5人の委員が反対したものの、賛成多数で原案どおり可決されました。

市民委員から反対意見続出 
市民委員からは、①プリンス坂の公道化が地区計画で担保されていない ②一部を「中心商業業務地」とした都市マスタープランや用途地域・風致地区の線引きはホテルの立地を前提としたものであり、ホテルがなくなった時点で見直すべきであった ③住民の賛否が分かれている案件については一回の審議で決めるべきではない、審議会の議論を経て市は提案を作成するべき ④提出された書類(都市計画図書)に不備があるのではないか など疑問や意見が出されました。これに対して、当局は手続きに則って進めてきたと主張するばかりで、この場で採決することを譲りませんでした。

沈黙する市会議員
 審議会の構成は、学識経験者枠12人、横浜市会議員枠10人、横浜市の住民枠3人の25人です。議会の都合で日程が決められるため、学識経験者3人と市民委員1人が欠席で、市会議員は全員出席です。しかし、市会議員からは一切質問や意見はなく、議論が白熱する中で採決を催促し全員賛成に手を挙げました。出席委員21人中、市会議員が10人ですから、あと1人で過半数です。反対が5人というのは前代未聞のことのようですが、長い間、法や制度を勉強しながら運動を続けてきた傍聴者にとっては、拍子抜けの審議会でした。

本質的な議論がない審議会の改革を
 市民委員によると審議会資料が送られてきたのは、審議会の10日前だということです。また、審議会で現地視察を行なうこともありません。今回は11の案件が提案されており、すべての委員が全案件について精査・検討して出席しているのか、はなはだ疑問です。2000年の都市計画法の改正により、都市計画審議会が果たす役割は一層大きくなりました。行政提案を追認するだけでなく、本質的な議論ができるよう委員構成や審議方法を見直す必要があると考えます。