「東日本大震災・復興支援まつり」に向けて被災地に行ってきました

鈴木有機農園の井戸の建屋と石碑

みやぎジョネットのコンテナ

さんさん商店街の千葉海苔店

11月9日に山下公園で開催される「東日本大震災復興支援まつり」に神奈川ネットとして参加するため、被災地の状況の視察に行ってきました。16日に福島県南相馬市、17日に宮城県南三陸町、気仙沼市に行く予定でしたが、台風26号の影響で南相馬市には行けず、磯子市民ネットが被災地支援で連携しているNPO法人ぐるっとのメンバーの協力を得て、急遽仙台市での訪問先を探すことになりました。

仙台市宮城野区でEM菌を使ってお米の有機栽培を行なっている鈴木有機農園を訪問しました。鈴木さんは津波で近くに住む弟さん夫婦と祖父母を亡くされています。しかし、田んぼの瓦礫を大勢のボランティアの協力で除去し、震災の年の5月に塩害対策の井戸を掘り、秋には稲を収穫しました。3年は無理だと言っていた農協からは疎まれたそうです。しかし、塩害対策のためにいろいろな塩分濃度でいろいろな品種を実験栽培し、その情報は農協でも活用しています。「消費者はもっと賢くなって生産者に安全性を求めるべきだ、食べることで健康を害するのはおかしい」と熱く語ってくれました。地震と津波の記憶を後世に伝えるために、「絆の井戸」にヒノキの建屋を造り、その横には石碑が建てられていました。

南三陸町では震災の翌日には町に入り、女性の復興自立を支援したいと「みやぎジョネット」を立ち上げた草野さんにお会いしました。取り壊しが決まった「防災対策庁舎」のすぐ近くにコンテナを置いて事務所と倉庫にしています。主な事業は仮設の女性たちを対象にしたサロンの開催です。草野さんには元気な女性たちを紹介していただきました。

 姉妹で経営している千葉海苔店は、津波で工場、店舗、自宅を失った状況から、取引先や銀行に迷惑はかけられないと立ち上がり、仮設の「さんさん商店街」に店を出し、今では震災前以上の売り上げだということで、商店街で一番のにぎわいです。しかし、店舗再開までには大変な苦労があったようです。今でも支援物資の洋服を着ているとおっしゃっていました。

 津波を免れた村松さんは、自宅の一部を仮設の人たちのたまり場に開放しています。仮設に来るスーパーなどの販売車は路地までは入って来ないので、個々のニーズにきめ細かく対応する訪問販売も行なっています。亡くなったご主人の仏前に好物のてんぷらを供えたいという要望にも応えたそうです。ご自宅のすぐ近くまで津波は押し寄せてきて、近所の人たちが大勢避難して来ました。着替えを提供し、流れてきた冷蔵庫からも食料を調達し、雪を溶かしてお米を炊きました。

 歌津地区では津波でご自宅を流され、高台の畑に新居を建てたばかりの千葉たけ子さんを訪問しました。たけ子さんは81才のご高齢にも関わらず、わかめの販売を始めました。また、ご近所に住む女性は昆布やひじき、ふのりを採取し商品化しています。

 元気に活躍している人たちは、みんな自分で考え創意工夫して前向きに取り組む自立した市民です。そして人とのつながりを大切にしていました。