教育の分権と自治を考える ~沖縄・竹富町と横浜市の教科書採択から~

2014年3月18日 11時47分 | カテゴリー: 活動報告

沖縄・竹富町が使用している教科書に対する国の是正要求は、教育に関する分権と自治を私たちに問いかけています。

竹富町では、教科書の採択権限が各市町村教育委員会にあるとする地方教育行政法を根拠として、採択地区協議会が選んだ育鵬社の教科書を使用せず、独自に東京書籍の公民教科書を使用しています。教科書無償措置法では採択地区内で同じ教科書を使うと規定されているため、無償給付は受けず寄付で調達し生徒に配布していました。これに対して3月14日、国は異例の強行措置として是正要求を出したのです。

竹富町が独自の教科書を使い続ける背景には、戦争で甚大な被害を受け米軍基地が押し付けられている沖縄において、子どもたちにどのような歴史を教えたいのかという住民や教員の思いがあります。

 地方分権が進められようとしていた1997年の「行政改革委員会の教科書採択制度に関する最終意見」では、「公立学校においても学校単位で自らの教育課程に合わせて教科書を採択する意義を重視すべきであり、将来的には学校単位の採択の実現に向けて、法的整備も含めて検討していくべきである」との見解を示しています。教育についても分権と自治が模索されていたのです。

しかし実際は、教科書採択は次第に現場から遠のいていきました。愛国心が盛り込まれた2006年の教育基本法改正はそれを加速させ、侵略戦争を否定し、自国への誇りを強調する教科書の採択が保守系政治家主導で進められていきます。中田宏前横浜市長もその一人です。恣意的な人事によって構成された市教育委員会は、18区がそれぞれ採択地区となっていたのを全市1地区に統一をするよう2009年県教育委員会に要望、実現させました。

また、横浜市は条例により教科書採択の適正を期するため、校長・教員や学識経験者、保護者等から成る審議会を設置しています。教科書採択にあたっては、現場に近いところで広範な人たちの参加によって検討されることが必要だからです。しかし、2009年、2011年の採択ではこの審議会の答申が無視され、教育委員の多くが答申では評価が低かった育鵬社の公民と歴史の教科書に投票し採択されました。

こうした一連の教科書採択の経緯は、日本が急速に分権、自治の方向ではなく、集権、操作の方向に動いていることを痛感させるものです。

政治を市民の手に取り戻すには、参加、分権、自治を後退させてはいけません。教科書採択が自民党政権の国主導の考え方に連なる一部の人達の意向で決定されることのないよう、市民の監視を強めることが必要です。