チェルノブイリ原発事故で汚染された日本茶を測定してみました

1986年の一番茶と二番茶を使用した「わたらい茶」

4月26日でチェルノブイリ原発事故から28年が経過しました。事故により放出された放射性物質は8000kmも離れた日本にも降り注ぎ、生活クラブ生協の「わたらい茶」から227ベクレル/kgのセシウムが検出されました。生活クラブでは独自の基準によりこれを供給停止として、マヨネーズの瓶に入れて保管してきました。セシウム137の半減期30年が近くなり、このお茶の汚染度を測定してみようと考えました。

 生活クラブ港南センターに保管してあるお茶をいただいて、磯子区にある「横浜市民測定所」に測定を依頼しました。瓶の中には100gのお茶がパック詰めのまま入っていました。測定には分量が必要だということで10パックを持ち込みました。パックから出しフードプロセッサーで粉末状にして、1リットルの容器に700gを入れて計測しました。

測定所の分析スタッフの方によると、放出時のセシウムはチェルノブイリでは137と134の比率は1.0:0.55、福島では1:1だったということです。134の半減期は2年ですから今検出されるとしたら137だけです。1:0.55で現在の数値を計算すると76ベクレル/kg、1:1では59ベクレル/kgとなるそうです。

測定結果は137が19.1ベクレル/kgでした。測定したお茶はパック詰めだったので、チェルノブイリ事故後に測定した検体ではありません。当時測定したお茶の最高値が227ベクレル/kgということで、パックごとに汚染度にバラつきがあったのでしょう。逆算すると事故当時の数値は60~70ベクレル/kgということになります。

福島の事故後に290km離れた足柄のお茶から500ベクレル/kgを超えるセシウムが検出されました。チェルノブイリ事故当時、日本ではあまり問題になりませんでしたが、三重県の度会町に降り注いだということは、どこでも同じような状況であったと考えるのが妥当でしょう。ヨーロッパでは今でもジャムから三桁の数値が出ています。このように、原発は一旦深刻な事故を起こせば取り返しのつかない環境汚染をもたらし、生命や生活基盤に重大な被害を及ぼします。

21日、福井地裁はチェルノブイリや福島の被害実態を踏まえ、安全性が保証されない大飯原発の運転を差し止める判決を下しました。生存する権利は、原子力発電所という電気を生み出すための一手段である経済活動の自由に優るとしています。改めて私たちは脱原発社会に向けて、大勢の市民と連携して活動を進めていきます。

 

お茶を粉末状に

測定中