学校内の放射能汚染土壌の埋め戻し、処理方針は適切か?

福島第1原発の事故のあと、横浜市の学校の敷地内で空間線量が高い所があり、市は土壌除去の目安(地表1cm地点で毎時0.59マイクロシーベルト、地表1mで毎時0.23マイクロシーベルト)を設けて、土を除去し保管してきました。これについて市の放射線対策本部会議は昨年12月に、目安未満の土は敷地内に埋め戻して10cmの土で覆う、目安以上の場合はプラスチック容器などに入れて30cm以上の地中に埋蔵保管し掲示板などを設置するという方針を決定しました。これに基づいて、9月末までに4校で50リットルが埋め戻され、現在は16校で1,740リットルを保管しているということです。16校で空間線量を再測定したところ、最大で毎時0.98マイクロシーベルト(地表1cm地点)が確認されたが、7校は目安を下回っていたそうです。ちなみに土自体の放射線量は測定していません。

これとは別に、学校の雨水利用施設の雨水貯留汚泥が放射能で汚染されました。横浜市は全43校のうち17校で、国の基準である1kgあたり8,000ベクレルを超えていることを確認し、指定廃棄物として環境省に申請し「指定廃棄物ガイドライン」に基づき保管しています。8,000ベクレル未満の汚泥についても飛散防止などをした上で保管しています。

そもそも8,000ベクレルという基準は事故後に決められたもので市民の不信感は強く、下水汚泥焼却灰についは、8,000ベクレル以下であっても南本牧最終処分場への埋め立てに周辺住民や港湾関係者の合意が得られていません。2ヶ所の汚泥資源化センターに約34,500トン(6月末現在)が保管されていて、今も数百ベクレル/kgレベルの汚染された焼却灰が増え続けています。

このようにひとたび原発事故が起きれば、遠く離れた横浜でも多大な影響を受け、今も問題は解決していません。事故が起きなくても放射性廃棄物の最終処分場については何の解決策もなく、指定廃棄物の最終処分場建設についても候補地の住民合意が得られないのが現状です。学校内の汚染土壌については、子どもたちやPTA、地域の住民に広く情報を公開し、処理方法について説明、討議するとともに、このような原発の現実について考えるきっかけとし、後世に伝えていくべきです。