コロナ禍の子どもたちをまもるために!
富山市で教育委員会と連携して学校での新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいる小児科医の種市尋宙先生のお話を伺いました。
富山市では2020年4月に全国で初めて小学校での感染事例がありました。児童、教師5人が感染しましたが、いずれも無症状または軽症でした。
しかし、メディアで大きく取り上げられ、学校名がさらされ、根拠のないデマまで流布されて、全国から批判が殺到し、校長が謝罪する事態となりました。これをきっかけに教育委員会と連携して「富山市立学校新型コロナウイルス感染症対策検討会議」を立ち上げました。目的は、子どもたちの日常を取り戻すために、①児童生徒等が安心して学び、心身共に健康に学校生活を送ることができる環境の提供 ②最新の医学的知見の共有と学校の立場の相互理解 ③過剰感染対策を防止する ④偏見、差別を防止するの4点です。これまで保護者と学校現場との意思統一を図るために、リーフレットを保護者向けに14報、学校向けに2報、幼稚園向けに2報発信してきました。未就学児にマスクは必要ない、家庭内感染の発端が子どもの事例は少ない、学校クラスターは極めてまれ、黙食給食で残食率が増えている などをデータに基づいて公表してきました。また、一斉休校など自粛による運動不足で肥満が増えている一方で、やせも増えています。明確な理由は不明ですが、貧困によるものではと懸念されています。全国一斉の休校には感染抑制効果はなかったと確認されています。富山市では、教育と医療が連携して、合唱コンクールや運動会を実施しました。子どもたちの日常を奪うことで、知らず知らずのうちに子どもたちの心を傷つけていることがあります。大人は感染状況を見ながら、できる限り子どもたちの自由を尊重するべきです。
今、国は子どもたちにもワクチン接種を勧めようとしています。子どもは感染しにくく、重症化しにくいことは実証されています。子どもたちへのワクチン接種は慎重に取り組むべきです。ワクチン接種をしているかが、差別やいじめの原因にならないよう配慮が必要です。