横浜G30を検証する — 「ごみ」も「資源物」も発生を減らすべき

昨年10月から磯子区をはじめとする6区で、容器包装リサイクル法に基づく分別対象品目の拡大、いわゆる「G30」が実施され、4月からは全市展開されました。
 磯子市民ネットでは、市民のごみに対する意識・動向調査や資源集団回収の状況、プラスチックごみの処理などについて調査を行なってきました。
調査結果をもとに、「G30」を検証するとともに、ごみも資源も削減する発生抑制や持続可能な循環型社会をめざして、市民に何ができるか、何か問題なのかを考える「ごみプロジェクト中間報告会」を開催しました。

スーパーに捨てられる容器包装材
 スーパーへのヒアリング調査での10月以降の顕著な変化は、包装材など家に持ち込みたくないごみをスーパーに捨てていく市民が増えたことです。お菓子の箱や肉汁のついたトレー、分別していないびん・缶などの入った袋、さらには家庭ごみや粗大ごみが駐車場に捨てられていることもあるそうです。
 一方、レジ袋を断わる人や店頭でのトレー、牛乳パック、ペットボトルなどの回収量については、10月以降大きな変化は見られませんでした。レジ袋は、ごみや資源を出すために以前より必要だという声もありました。店頭での資源回収では、行政回収でリサイクルされるのならスーパーまで持って行くことはないと、減っている品目もありました。
 資源集団回収については、古紙の行政回収が月1回なので、当然、参加団体・回収量ともに増えています。市は、「G30により資源も含めたごみの発生が削減された」と言っていますが、この中には集団回収やスーパーのごみ箱に回った分が含まれていることになります。

参加者の声
(30代女性)ちょうどG30が始まったころに、広島から転居してきました。広島ではごみ袋は有料で、びん・缶は分別し、びんは色分けして出していました。なぜ、横浜では、分別収集といいながらびんも缶もペットボトルもいっしょに出していいのでしょうか?とても不思議に思います。自分では少しでもごみを出さないように、スーパーなどでレジ袋をもらわないようにしています。

(50代男性)企業は徹底した分別を行なっていますが、「G30」は分別に対してあいまいです。例えば、プラスチック容器の洗浄の度合いがはっきりしません。また、今までの高性能焼却炉ではダイオキシン対策はしてきましたが、窒素酸化物(NOx)の対策はどうなのでしょうか。市民ができることは分別しかない中で、情報が市民に来ない、市民が意見を言える窓口がないと感じています。

ごみ処理の優先順位が市民に伝わらない収集方法
 資源循環の視点で一番有効な容器は、繰り返し使用できるリターナルびんです。次に有効なのが、何回でもびんに再生できる無色と茶色のガラスびんです。スチール缶やアルミ缶も、金属スクラップとして容易に利用できます。しかし、プラスチックをプラスチックにするには、汚れや組成の違いにより品質が劣化したものにしか再生できず、再生された製品も早晩廃棄物となり、再び処理しなれればなりません。せっかく分別収集しても原料として不適切で埋め立てに回されるものも多いようです。昭和電工でゼロエミッション(廃棄物ゼロ)リサイクルされるのは、全国の使用済みプラスチック(約1,000万トン)のうちわずか1%でしかありません。
 びん・缶・ペットボトルを混合収集して、ぐちゃぐちゃになったガラス容器を資源選別センターで手作業で色別に分けている横浜市の収集方法では、この優先順位が市民に伝わりません。

「ごみ」も「資源物」も発生を減らすべき
 横浜市はごみ政策を大量焼却から大量リサイクルへ転換したわけですが、ごみから資源に移行しただけではないのかという疑問を感じます。発生抑制・再使用の選択肢が示されていない容器包装リサイクル法の問題点も含めて、市民に的確な情報を発信しないと、分けて捨てればリサイクルされるからと使い捨てを促進することになってしまいます。ちなみに、年間廃プラスチック約1,000万トンのうち、容器包装リサイクル法に基づいて収集されたプラスチック製容器包装は約40万トン(平成15年度)です。2007年までに全市町村の8割の約2,700市町村が分別収集に取り組んで、約92万トンが収集される見込みだということです。10%に満たない廃プラスチックの処理に、多大なコストと手間をかけて「ごみからごみをつくる」ようなリサイクルをする前に、発生抑制・再使用をすすめるべきです。
 今後、磯子市民ネットでは、ごみ処理や資源化のトータルなコストや環境負荷についても、さらに検証していきます。