知事は「経済状況、財政状況も以前から比べるとだいぶ回復した」として予算案に知事公舎設計費を盛り込みました。県税の収入額は、1兆264億円と当初予算計上額としては平成10年度以来8年ぶりに1兆円を超える規模となりました。しかし、税収の増加によって、地方交付税が昨年より700億円削減され、さらには、三位一体改革の実施に伴い、正味収入額では財政危機に陥る直前の平成9年度の8,782億円を下回る8,566億円となっています。平成17年3月に策定された「財政健全化への基本方策」によると平成17年から21年度までの中期見通しによる5年間計の財源不足見込額は5,900億円で毎年不足額を出しており、平成18年度は850億円が不足と見込んでいました。しかし、平成16年度、平成17年度と県税の歳入を増額補正し、平成17年度は当初の県税に+6.7%、627億余円の増額補正となりました。このように、景気回復の影響が県税収入にも現れてきてはいますが、県の構造的な赤字体質の改革は根本的に変わっていないと考えます。
知事公舎は本当に必要か?
平成16年度の予算委員会の際にも、知事公舎の設計費が計上され様々な論議がありました。異例の執行凍結になりましたが、知事は、同年11月に必要性や機能、規模、設備、建設スケジュールについて知事公舎建設検討会に諮問し、平成17年3月に同委員会から答申が出されました。
現在、知事は、県庁から徒歩30分で通え、全国の知事公舎の平均面積 約200平方メートルを満たす横浜市中区山手町のマンションの1室を借り上げ知事公舎として使用しており、災害時の初動体制の確保等はできていると思われます。また。知事公舎の迎賓機能については、地域にある資源や民間の活力を生かす観点からも近隣のホテルやホールの利用も考えられます。現状において危機管理上不都合があるとは思えません。
また、道州制議論や就任の際の「最後の知事」発言もあり、今更知事公舎を建設して何年使う予定なのか疑問です。