神奈川ネットワーク運動の若林市議らの指摘で、05年度に横浜市が収集した古紙のうち約1割が行方不明になっていることが明らかになりました。この件に関して、私たち磯子市民ネットのメンバーが、古紙業者の買い取り量の過少申告により市が被った損害を回収するとともに市の責任をただすよう住民監査請求を行ないました。8月24日にこれについて意見陳述の機会がありました。監査委員は、大学名誉教授、弁護士、市議2人の4人で、このうち市議1人が欠席でした。
陳述では、根拠とした数字の説明をするとともに、この事態を招いたのは禁忌品(再生紙の原料とならない紙コップや感熱紙など)を含めた「その他の紙」の資源化を古紙業者に押しつけた横浜市の施策に問題があることを主張しました。資源循環局側の陳述は、市の計量体制の不備は認めたものの、古紙業者の虚偽の申告により損害を被ったので告訴したというだけで、古紙基準の見直しなどの施策には言及しない予想通りの内容でした。
代表監査委員から当局に対して、詐欺罪を立証するのは難しいのではないかという質問がありました。確かに、告訴の根拠としている数字はすべて業者側から出たものであり、05年10月から12月の落札者は回収業者であるにもかかわらず、古紙問屋を告訴しているという不可解な点もあります。しかし、陳述の場では意見を述べ、監査委員からの質問に答えるだけで、請求者が当局に質問することはできません。
住民監査請求ができるのは「違法又は不当な財務会計上の行為又は怠る事実があり、市の財政に損害を与える場合」ということで、監査請求書は古紙業者の過少申告により市が損害を被ったことに対する監査請求となりますが、トカゲの尻尾切りに終わらせないために、市の施策の間違いを今後も問いただしていきたいと思います。
G30は焼却ごみを30%削減しようという計画ですが、紙は重量が重く、数値目標達成のためには重要な品目です。そのために、禁忌品の資源化を古紙業者に押しつけるような強引な手法が行なわれ、その結果、一部の業者による買い取り量の過少申告を黙認せざるを得ないような土壌をつくってしまったものと考えます。