まちづくりのルール

市街地環境設計制度による基準緩和の問題点

港南台駅前の4〜5階建ての分譲うぐいす団地で、高層化して建て替える計画が進んでいますが、周辺住民からこの計画を許可した横浜市に対して行政訴訟を起こす動きがあります。
この地域の都市計画法上の高さ制限は20m以下ですが、市街地環境設計制度の高さ制限緩和措置により40数mの高層マンション建設をしようとしています。周辺住民は、高層化によって日照や通風、街並みの調和などの点で良好な住環境が侵害され、高さ制限緩和の根拠である「公益的な理由」はまったくないと主張しています。

旧横浜プリンスホテル跡地の風致地区に高層マンション群を建設する計画の根拠もこの制度によります。この制度は「都市計画で規定された容積率や高さ等を緩和することにより、高い水準の建築計画による良好な市街地環境の形成を積極的に誘導していくもの」で、緑化、歩道や広場の確保、福祉施設の導入などを地域貢献として、基準緩和の要件にしています。しかし、何をもって地域貢献とするか、周辺住民と横浜市とでは評価が異なることがあります。また、周辺住民の中でも、さまざまな意見があるでしょう。
極めて曖昧な条件で例外を認める制度の問題が根底にあると思います。行政の裁量次第という感じです。周辺住民の意見をどのように反映していくか、都市計画の合意事項は何なのか、まちづくりのルールを見直す必要があるのではないかと思います。
行政訴訟で勝つのは難しいと思いますが、今後もこのような問題は増えてくるでしょう。