マンション建設予定地には風致地区が含まれており、風致地区の高さ制限は原則15mです。高層マンション群建設は、良好な自然的景観を保全するために定められた地区という風致地区の定義そのものに反するのではないでしょうか。
高層マンション群建設には反対している住民の中には、現在通行止めになっている旧プリンス坂を通るには、業者の都市計画提案を受け入れざるを得ないと考えている人もいるようです。しかし、旧プリンス坂は40年以上も不特定多数の住民の生活道路として使われてきました。磯子台の住宅もこの坂を通行できることを前提に販売されています。住民にはそもそも旧プリンス坂を通行する権利があるのではないかと考え、磯子市民ネットでは、横浜弁護士会環境法実務研究会の宮澤廣幸弁護士をアドバイザーに迎え、「旧プリンス坂の通行について」フォーラムを開催しました。
通行できる道路の条件は、①道路らしくなっている、②生活上必要性が高い、③道路を通行させることによって不利益が生じない、④時間の経緯がある、ということです。この条件から見ると所有者が旧プリンス坂の通行(車も含め)を妨げることはできない、つまり開発業者は、私道であっても住民を通す義務を負った土地であることを承知して取得しているはずです。
県警にヒアリングしたところでは、私道の通行ついて警察が許可したり規制したりできるものではないということです。開発業者は社会的責任として住民の通行を保証するべきであり、その場合公道化するのが最善の策だと判断したとしても、公道化を高層化の交換条件のように地域住民に二者択一を迫ってはならないと考えます。
開発目的会社の短期的な利益の追求に翻弄されるのではなく、地域住民は、行政や開発業者に対して対等に意見を述べ、長期的な視野で協働してまちづくりを進めていくべきです。