不可解な北仲通南地区の購入
昨年3月に中田前市長がUR都市機構から北仲通南地区の超高層建築の条件付きの土地を167億8,000万円で購入したことから、新市庁舎建設の話がにわかに浮上してきました。関内の市庁舎は、市会棟の耐震工事を平成12年度から14年度に約16億円をかけて行ない、行政棟については約50億円の免震工事を終えたばかりで、新市庁舎建設は唐突と言わざるを得ません。
民間からアイデアを募集し、「新市庁舎整備を核とした事業手法検討委員会」が設置され、今年4月に提言書がまとめられました。提言は北仲通南地区に新市庁舎を建設し、主要機能を移転する一方で、免震工事をしたばかりの行政棟は引き続き使用するというものです。建築費など30年間の市の支出総額は約1,506億円にのぼります。
分散化と多大な賃貸料が問題ではなかったのか?
新市庁舎整備の主な目的は、市庁舎が複数の民間ビルに分散していることによる市民サービスの低下や多大な賃貸経費の発生を解決することだったはずです。ところが提言は一箇所に集約されない分庁案です。そもそも一般市民は区役所に行くことはあっても、市庁舎にはほとんど行きません。「市民サービスの低下」は新市庁舎建設のための口実だったのではと思います。
現在の市庁舎機能分散による年間賃借料の合計は18億7,000万円です。これに比べてもはるかに過大な負担であり経費節減とは言えません。提案では関内地区の再開発も併せて進め、テナント料や地代を収入源とし、さらに新市庁舎の余剰床も賃貸するとういことです。しかし、深刻な不況の中で、テナントが確保できるのか疑問です。また、関内再開発については、地元商店街の合意もとれていません。さらに、先日、横浜市は2010年度は市税収入が前年度を大幅に下回り、530億円の財源不足となるという見通しを明らかにしたばかりです。
市庁舎機能強化より区への分権を!
今後、道州制の議論が本格化し、基礎自治体への分権が進むことが予想されます。大都市横浜において市民生活を大切にした政策を実現するためには、区への分権を進める必要があります。将来を見据えて、今新市庁舎を建設する必要はないと考えます。