一人ひとりに必要な支援を

横浜市には障がいのある子どもを介助する学校生活支援員制度がありますが、6月中旬に突然、教育委員会から予算が不足するという理由で、利用日数と時間を制限するという通知が市内の小・中学校に出されました。これを受けて神奈川ネットでは、各学校への緊急実態調査と県内自治体の制度比較を行いました。

あまりに少ない横浜市の介助員予算
磯子市民ネットでも区内の小・中学校にアンケート調査を行いました。この制度を利用している肢体不自由の生徒がいる中学校では、「支援員は毎日、一日中いてほしいが、時間を短く、回数も減らすことになった。違う方法を検討しているが、必要だから申請しているのに、予算を理由に中止するのでは制度の意味がない。」と困惑していました。
市は予算不足について、昨年度から制度の利用にあたり保護者の通院、入院、出産など保護者が介助できない条件が撤廃され利用が増えたためと説明しています。しかし、2011年度予算の比較では、人口370万人の横浜市の1528万円に対して、人口13万人の座間市でも1822万円。一桁間違っているのでは?と思えるほどの横浜市の予算の少なさです。また、学校生活支援員は保護者や教員に周知されていないことに加えて、2時間千円の有償ボランティアという条件もあって、確保が困難な状況です。

自治体により異なる支援制度
近年、地域の小・中学校の特別支援学級に通う子どもたちが増加しています。また、通常の学級でも発達障がい等で個別に支援を必要とする子どもたちが増えています。国では07年から障がいのある児童生徒に対し、食事、排泄、教室の移動補助等学校における日常生活の介助を行ったり、発達障がいの児童生徒に対し学習活動上のサポートを行ったりする特別支援教育支援員の増員に向けて財政措置を行っています。これにより各自治体では、日常生活介助に加えて学習面の支援制度も広がっています。教員資格を求める自治体もあり、支援員(介助員)の報酬や雇用形態もさまざまです。

介助員制度・学習支援制度の充実を
横浜市でも学校生活支援員の他にも、大学生ボランティアによるアシスタントティーチャーなどを募っていますが、まだまだ充分な支援体制にはなっていません。また、障がいのある子どもだけでなく、外国籍の子どもやネグレクト(育児放棄)などへの対応も必要であり、求められる支援は多様化しています。市は「特別支援教育を推進するための基本指針」の中で、「障害のある子どもとない子どもが、可能な限り同じ場で教育を受けられるように」と謳っています。一人ひとりの子どもに必要な支援が届くよう、日常生活介助と学習支援の制度を専門家やNPOなどと連携して充実させることが必要です。