ベビーシッター事件から子育て支援を考える

磯子区でベビーシッターに預けられた2才児が死亡するという痛ましい事件が起きました。事件をきっかけに、ベビーシッターに何ら法の規制がないことが問題になっています。また、公的支援がないため料金が高額となり、安価だという理由でネットによるマッチングサイトで顔の見えない怪しげなベビーシッターに頼ってしまうケースもあると指摘されています。

 今回の事件は、預ける側も預かる側もあまりにも無責任で子どもの人権を無視した行動だと言わざるを得ません。しかし、保育サービスが足りないのは事実であり、子どもたちの命を守るためには、夜間や休日、宿泊保育についても制度化する必要があると考えます。

 横浜市は子育て支援施策に力を入れて一時は待機児0を宣言しましたが、これが潜在的需要を喚起することになり、再び待機児が増えています。また、生き方や働き方が多様化し、子育て支援のニーズも変化しています。女性の職種の拡大による急な出張や残業、24時間営業のコンビニやファミレスなどの増加、シングルマザーの増加、長時間労働で子育てに協力できない父親など、通常の保育園の開所時間だけでは対応できなくなっています。これまでは家族内で何とか対応してきたものが、核家族化、孤立化などで困難になっています。安心して使えるようベビーシッターの制度を整備するとともに、税金による支援で安価に使い易くする必要があります。

横浜市には24時間緊急一時保育という制度があります。保護者が病気や仕事などで緊急に子どもを預けなければいけなくなった時、夜間・宿泊も含め24時間365日対応します。原則3日以内、対象は生後6か月から就学前まで、料金は年齢、時間帯により1時間400円~700円、24時間の上限が1万円、きょだい児や生活保護世帯への減免もあります。神奈川区と港南区の2か所の保育園で受け入れていて1か所の定員が1日6人。人口370万人に対してあまりにも少な過ぎますが、横浜市の子ども青少年局への聞き取りではいつも満員ではないとのことです。制度が周知されていないことが原因の一つと思われます。たとえば磯子区のホームページには掲載されていません。場所が区外であっても、市の制度ですから必要な人のためにホームページに掲載することは当然でしょう。また、場所が遠いことも利用のしにくさにつながっており、せめて各区に1か所は設置するべきではないでしょうか。

また、女性の労働力が必要だと言われながら、労働環境は良くなっていません。派遣など非正規雇用が4割を占め、社会の格差が大きくなり、特に若い世代は共働きでなければ生計が成り立たない場合が多いにもかかわらず、働きながら子育てする環境が整っていません。保育園やベビーシッターの整備だけでなく、女性も男性も子育てしながら働くための労働環境の整備を同時に進める必要があります。