埋め立てて大丈夫なの? -放射性物質で汚染された下水汚泥焼却灰-

原発事故によりセシウムを含む放射性物質で汚染された下水汚泥焼却灰の埋め立てについて、

説明会の様子

hamaosen対策会議が主催する横浜市の説明会に行ってきました。

原発事故後、関東・東北各地で下水汚泥焼却灰の放射性物質による汚染が問題になりました。横浜市ではピーク時の2011年5月19日に北部センターの汚泥焼却灰から1kg当たり1万3,056ベクレルの放射性セシウムを計測、南部でも同6月16日に、6,468ベクレルの最高値を記録しました。国は急遽8,000ベクレル/kg以下なら埋め立てても良いという基準をつくりました。また、市は100ベクレル以下のものについては、セメント原料や土木工事の改良土に使い続けました。こうしたことに対する市民の不信や不安は大きく、南本牧最終処分場への埋め立てについて、周辺住民や港湾関係者の同意を得られませんでした。そのため、これまでは北部と南部の汚泥資源化センターの敷地内に毎日約30トン発生する焼却灰を保管してきました。これが昨年9月末で約28,200トンになり、あと2、3か月で保管スペースがなくなるということです。

市は昨年9月に汚泥焼却灰の放射性物質濃度が低下(北部690ベクレル/kg、南部590ベクレル/kg)して安全性が増しているので、日々発生する30トンを南本牧最終処分場の陸上部分に埋め立てるという計画を示しました。市は地元の本牧根岸地区連合町内会で3回の説明会を行ない、試験埋め立ての了承を得たとしていますが、条件について完全に合意しているわけではないようです。陸上部分とはいっても津波があれば被害を受ける場所であり、下水汚泥焼却灰は震災前までは100%リサイクルされていて埋め立ての実績はないわけで、市民の不安は払拭できません。しかも、日々の焼却灰埋め立てによる周辺への影響がなければ、現在保管しているすべての焼却灰も埋め立てるというのが市の方針です。原発事故以前の数値は計測していなかったということですが、影響がほとんどない関西地方の数値は10~20ベクレルだそうです。現在の横浜の数値はその30~60倍です。周辺住民は、現在保管されている高濃度に汚染された焼却灰までが歯止めなく南本牧最終処分場に埋め立てられてしまうことに危機感を抱いています。

この危機感を払拭するためにも、横浜市で独自に埋め立ての基準値を決めて、それ以上のものは安全性を確保した状態で保管し続けるべきではないでしょうか。原発事故の恐ろしさを忘れないためにも、今も影響があることを認識するためにも、目に見える形にしておくことが大切だと思います。埋め立ての基準値については、100ベクレルなのか、300ベクレルあるいは600ベクレルなのか、まずは、周辺住民だけでなく、広く市民に情報を公開して十分に議論する必要があると考えます。