石巻市と南三陸町に行ってきました    その① 石巻市門脇で   

「がんばろう!石巻」の看板

磯子市民ネットが連携している宮城県登米市のNPO法人ぐるっとが支援した石巻市門脇の交流と特産品販売の場「とまりの駅」のTさんと、仮設住宅の女性グループ「野の香」の手作り箸づくりの世話役をしてくださったCさんにお話を伺いました。

門脇地区の盛り土工事はこれから

「とまりの駅」は「がんばろう!石巻」の看板の前にありましたが、工事が始まるために立ち退きになりました。しかし、まだ盛り土工事は始まっておらず、周辺の様子は1年前とほとんど変わっていませんでした。まず工事のための仮設道路が敷設されてから、道路とTさんの洋服店があった「とまりの駅」あたりがかさ上げされます。道路より海側は公園になるそうです。しかし、Tさんの町内でまた元の場所に戻る意思表示をしている人は少ないということです。Tさん自身も蛇田地区の復興住宅地の抽選が当たり、元の場所でまたお店を開く意思はないそうです。町の人達がお客さんだったので、元の住民が少なくなった町での経営は難しいとのことです。

移住先の造成は進んでいるが

津波の危険性のない内陸部に開発された移住先として蛇田は市街地に近く人気が高かったそうですが、町から遠く不便な地区は申し込みがあまりなかったということです。それでも造成工事は進められます。60才が新たに家を建てようとする意欲の分岐点ではないかというお話でした。当初の計画では、26年度には造成が完了する所があったはずですが、遅れています。市立病院の建設費は、昨年の基本計画では約70億円だったのが、5月の実施設計では約140億円に倍増したそうです。オリンピック関連の工事により、さらに資材費や人件費の高騰が懸念されます。Tさんの所は、28年度には造成が完了する予定だそうですが、いつから建設できるという確約はなく、建設費の高騰など不安材料は尽きません。

二重ローン問題

Cさんの実家は家を新築して3年で震災に遭い、二重ローンを抱えて困っているということです。震災後、被災ローン減免制度が導入されましたが、利用状況は低調です。これは法律ではなくガイドラインで、これまで3回の運用見直しが行なわれましたが、そもそも対象者の範囲が狭く、被災者の実態に合っていなかったと言われています。想定されている南海トラフなどの大地震に備えて、法整備を検討する必要があるのではないでしょうか。

それぞれの生活の課題にどう向き合っていくか

現在、石巻市で仮設住宅に居る人が1万4000人、みなし仮設が1万2000人、市から転出した人が1万3000人だそうです。3年半が経ち、それぞれの家族の生活があり、子どもたちは成長し、お年寄りの健康状態も変ってきます。10年の復興計画の中で、それぞれの家族が何を選択しどう生きていくかを迫られています。私たちは微力ですが、これからも被災地の人たちの声を伝え、問題提起していきたいと思います。