子育て支援、市民の意見は計画にどう反映するのか?

15日、磯子区で「横浜市子ども・子育て支援事業計画(仮称)の策定に向けた市民意見交換会」が開催されました。地域で子育て支援に関わっている方々が参加し、さまざまな意見が出されました。出された意見はいずれももっともなものですが、限られた予算の中で優先順位をどうするのかが重要です。

今後は各区で計画をつくっていくとのことです。全市画一的なものではなく区の特性を踏まえたものにするためには、様々な立場の人たちが計画の策定に参加することが必要です。行政が市民の意見を聞き置くというだけでは、市民参加とは言えません。それぞれの地域の実情に合った計画にするために行政と市民の共同作業をどうすすめていくのか、市民参加のあり方が問われています。

主な意見は以下のとおりです。

 母親①

兄弟が別々の保育園に入っていて送迎など大変なことが多い。転園の場合優先順位が低くなるとのことだが、親の事情を考慮してほしい。

母親②

一時預かりに困っている。その都度様々な場所に問い合わせているが、もう少し使いやすくしてほしい。

母親③

障がいを持つ子どもがいるが、障がいを持つ子どもは地域で育つことが大切。居場所や交流の場など地域との関係づくりのための支援をしてほしい。

放課後児童クラブ(学童保育)の指導員

横浜市は全校にキッズクラブを設置する方針だが、学童に比べて料金が安価であるため、学童がつぶれるのではないかと懸念している。学童は地域で親たちが努力して家庭的な環境で子どもたちが過ごせる場をつくってきた。キッズクラブの実態は、人数が多いため一人ひとりにきめ細かく対応できない、5時以降の利用者は数人しかいないところもあるなど聞いている。新制度でも子育ての第一義的責任は保護者にあるということなので、これまで地域で築いてきたものを壊さないでほしい。

プレイパークを主催している人

放課後も学校で過ごすのではなく、地域でいろいろな人が子育て関わることが大切だと思う。子どもたちが安心して野外で遊べる場が少なくなっている。いろんな保育園や幼稚園の子どもが参加するが、時間に追われて日課をこなすだけで、子どもたちに笑顔がないようなところもある。施設の整備だけではなく保育の質が問われる。地域ぐるみで子どもを育てる環境が大切だ。

幼稚園経営者

制度が変わり今後どのようにしていくか悩んでいるところだ。当園は毎日お弁当だが、今の制度では給食をやれば補助金が加算されるということで、がんばってお弁当を作っている親の努力は評価されない。今回の制度改正は、働くお母さんのためのものだと思う。経済的に働かざるを得ないということもあると思うが、せめて2才位までは子育てを優先できるような社会にするべきではないか。

親と子のつどいの広場をやっている人①

親や頼れる人が近くにいなくて孤立した子育てをしている人が多い。一時預かりが簡単に利用できれば便利だが、空きがなかったり、登録してないからと緊急時に利用できなかったという話を聞く。

親と子のつどいの広場をやっている人②

子どもが4人いるが、幼稚園を選ぶときに保育料の安価なところという基準で選ぶしかない。少子化対策というのであれば、保育料の無償化こそ必要ではないか。

地域の居場所事業をやっている人①

地域の市民の活動を活用することが大切だと思う。居場所では障害の有無や年齢を問わず一緒に活動しているが、現行の制度に合致するものがなく、運営は厳しい状況である。

今回の子ども・子育て支援法には夜間就労への対応もある。先日のベビーシッター事件がきっかけで明らかになったように宿泊保育への必要性は高まっているのではないか。

保育コンシェルジュは待機児童対策に特化した利用者支援だが、それだけでなく個別のニーズに対して民間やNPOなどのサービスも含めた情報を提供する利用者支援が必要ではないか。

地域の居場所事業をやっている人②

子どもが中学校の個別支援学級に通っている保護者から、放課後の居場所がないという相談が多い。小学校にははまっ子ふれあいスクールや学童があるが、中学校に行ったとたんに行き場がない。放課後等デイサービス事業はあるが、やっているところは少ない。