教科書採択に向けた教科書展示会に行ってきました

2021~24年度に横浜市立中学校で使用する教科書の選定が今夏行われます。最終的には教育委員会が一つの教科書を採択します。これに先立って現在教科書の展示が各区の図書館で順次行われています。私たちは磯子図書館で閲覧してきました。閲覧時間は30分程度、閲覧用の椅子が2脚用意されていて、テーブルに教科書を開いて読み比べることもできません。コロナ禍対策とは言え、開かれた展示会とは言えません。

そこで歴史教科書のアジア太平洋戦争に関する記述を比較しました。現在横浜市立中学校で使用している育鵬社の教科書は、“大東亜戦争”と表記し、アジアの国々の欧米の植民地支配からの解放が強調されている一方で、韓国併合については植民地とは言っていません。学び舎の教科書では、日本の植民地政策が詳しく書かれています。これはほんの一例ですが、同じテーマを取り上げても何を書くか、何を書かないかによって、読み手に全く違った意図が伝わります。

地方教育行政法の21条によると教科書採択の権限は各市町村の教育委員会にあります。教科書無償化と引き換えに広域採択が進みましたが、地方分権・行政改革の流れのなかで、1990年代後半には各学校単位での採択が推奨されました。しかし、その後の政治の動きは、教育の分権・自治へとは進まず、横浜市では区ごとの採択が2011年以降全市一本化となってしまいました。

教科書採択にあたっては、それぞれの学校の教師や親、市民が開かれた場で議論するべきです。一つの教科書に決めることが重要なのではなく、生徒たちも多様な意見を読み比べ、さらに戦場になったアジアの国々の人たちがこの戦争をどのように捉えているかを知ることが大切だと思います。歴史教育の目的は、戦争のない平和な社会を築くために、過去の事実を学び検証することにあります。