映画「夢みる校長先生」を見ました

通知表なし、宿題なし、テストなし、校則なしなどを実施した7つの小中学校の校長の取り組みが紹介されています。すべて公立学校です。

伊那市立伊那小学校では、ヤギやブタの飼育を通じて、子どもたちは何ができるか自分で考える総合学習に取り組んでいます。通知表も時間割もチャイムもありません。子どもたちが興味を持ったことを学習の芽と捉えてサポートするのが先生の役割です。

世田谷区立桜丘中学校では、校則を廃止しました。制服なし、髪型や髪の色も自由、スマホもOK、法律さえ守っていれば何でもOKです。小学校で厳しく管理されていた子どもたちは最初は戸惑います。問題行動やいじめも、「自分のままでいいんだ」と分かって「素の自分」を取り戻したときに問題がなくなるそうです。生徒総会で決まったことは全部実現するということで、定期テストを廃止しました。先生は子どもたちを見守ることが大切で、教え込む必要はないということです。

茅ヶ崎市立香川小学校では、通知表を欲しいのは成績の良い5%の優等生で、95%の子どもたちにとっては自己肯定感が下がると、通知表を廃止しました。子どもたちを成績だけで比べないことが大切と考えました。

新宿区立西新宿小学校では、不登校の子どもの増加、先生のなり手不足に直面して、学校自体を変える必要があると考え、通知表、テスト、宿題を廃止しました。校長は10年間教育委員会に在籍した経験があり、校長に決定権があることを知っていました。心底子どもたちが楽しいと思える学校がいいということです。

武蔵野市立境南小学校では、子ども中心の生活科や総合学習を重視し、宿題をゼロにしました。夏休みも宿題はゼロ、欲しいという保護者のみに対応しています。子どもたちはやりたいことがあれば必死で考え、約束も守ります。自分の願いを実現させるために、成長していきます。

横浜市立日枝小学校では、校長室をなくし、子どもたちが集える場に開放しました。校長はいつも機嫌良くして、子どもたちが安心して笑顔で過ごせることが大切であり、公立学校の「前例主義」「横並び主義」にとらわれない取り組みをしています。

日光市立足尾中学校では、コロナ禍でマスクの着用、黙食が強要され、学校行事を中止せざるを得ないような状況のなかで、文科省の「衛生管理マニュアル」を守りながら、科学的知見に基づき、専門家のレクチャーを受けながら、就学旅行や運動会を実施し、感染者はゼロでした。校長が責任を回避するために、子どもたちに必要のない不自由を強いてはならないということです。

全国の小中学校の不登校児童生徒数は299,048人(2022年度)、前年比22.1%増で過去最多であり、在籍児童生徒の3.2%を占めています。また、教師不足が深刻です。残業が多い、給料が安いなど、今やブラックな職業とまで言われています。子どもたちにとっても先生たちにとっても、楽しくない場所になっているのではないかと危惧します。

学校の運営については、ほとんどが校長の裁量に任されているそうです。7人の校長はいずれも教育委員会等から何か言われたことはないそうです。主体的な学習は新しい学習指導要領でも重視しています。国は「子ども・子育て支援金」を支給するために、その財源を公的医療保険料に上乗するとしていますが、校則や通知表、宿題、テストを廃止するのに税金は要りません。先生の働き方改革にもつながります。子どもたちが自由に生き生きと自分らしく過ごせることが一番大切です。

上映会場は老若男女で満席でした。特に子ども連れの若い女性たちが目立ちました。「こんな学校だったらいいな!」と思っている人が大勢いるということでしょう。このような取り組むが広がることを期待します。

映画のパンフレットより