新たな「図書館ビジョン」策定

横浜市は昨年12月に10~20年後を見据えた「図書館ビジョン」を策定しました。横浜市の図書館は各区に1館しかなく、蔵書数も政令指定都市で最下位で、施設の老朽化も進んでいます。新たな図書館ビジョンには、新館の建設やリノベーションの計画が盛り込まれていると聞き、「横浜市図書館ビジョンを考える市民連絡会」の学習会に参加しました。

現在の中央図書館は今までと同様に市立図書館全体の司令塔と位置付けて整備し、「のげやま子ども図書館」を設置する。新たに大型図書館を建設して物流拠点とする。一部地域館を広域利用も想定した中規模館(約5,000㎡)として整備し、子どもラボやカフェを設置する。地域館は各区1館を基本として、再整備の規模は約3,000㎡とする。すべての館において「居心地の良さ」をめざす。図書館の設置密度が低いことへの対策として、図書取次拠点を交通結節点、商業施設、地区センター等身近な公共施設に設置する。という計画です。

2023年12月に「図書館ビジョン素案」が発表されたときには、少子高齢化による社会保障費の増大、公共施設・インフラの老朽化に伴う保全更新コストの増加が強調され、公共施設再編の手法は、多目的化、複合化、集約化だということでした。大型館の新設とは少しは市民の要望を取り入れた感はありますが、図書館は市民生活に一番身近な公共施設であるべきです。各区1館ならばせめてネットワークを充実させてほしいと思います。図書館の機能として、「知る・学ぶ・深める」に加えて「つどう・憩う」「遊ぶ・体験する」「まちとつながり・交流」「連携・協働」を謳っています。複合施設、子育てスペース設置、交流、協働などのコンセプトは、全国的なトレンドですが、具体的に何をやるのか、新設大型館、中規模館はどこに建設するのか、まだ明らかになっていません。

磯子図書館は築24年ですが、18区では一番新しい館です。延床面積は約2,891㎡で、多くの区では1,500~2,000㎡ですので広い方です。従って新たな整備はあまり期待できませんが、歩いていけるところに図書取次拠点があるといいなと思います。

具体的に計画が進んでいるのは鶴見区の豊岡町複合施設で、小学校、保育園、区民活動センター等との複合施設となります。老朽化が進んでいるのは、港北区、戸塚区、金沢区です。今後の進捗状況を見守っていきます。

ちなみに横浜市の司書の人数は270人で日本一だそうです。この優位性を活かしてほしいものです。