集団回収の現場が混乱
横浜市は「集団回収に優先的にお出しください」と言っていますが、市のルールでは出してもいいことになっている紙コップや感熱紙などが、集団回収では再生紙製造の障害となる「禁忌品」となっています。市が別のルールをつくったために、集団回収の現場が混乱しています。
*禁忌品 : 紙コップ、紙皿、カップ麺の容器、洗剤の容器、ヨーグルト・アイスクリームの容器、感熱紙、写真など (これらは横浜市の回収では「その他の紙」に入る)
新聞、段ボール、紙パック、雑誌は、再生紙の原料として売却できますが、「その他の紙」を再生紙の原料とするためには、手作業でごみ(禁忌品)を取り除く必要があります。異物の混入した「ミックスペーパー」は、企業などがお金を払って古紙業者に処理を依頼するものです。
東南アジアの安い人件費で手選別
行政回収の古紙は業者が競争入札で落札しますが、「その他の紙」はさらに選別する負担が大きいので、一部は再生紙の原料ではなく固形燃料になっています。また、安い人件費を使って手作業で選別するために、インドネシアやタイへ輸出している業者もあるそうです。そして、安いコピー用紙などになって、再び日本に輸入されます。つまり、南北の経済格差による東南アジアの人々の安い労働力で、リサイクルが成り立っているということです。
古紙の品質の悪さに古紙業者も動き出す
10月27日、横浜市の古紙業者は、「G30」の古紙の分別方法が「製紙原料の品質を無視している」として、分別の枠組みの見直しを図るよう市長に要望書を提出しました。国内の製紙メーカーからは「横浜の古紙は要注意」と警戒されているということです。また、横浜市の古紙を落札した業者が禁忌品混入のまま「その他の紙」を輸出し、相手国からクレームを受けるケースがあると指摘しています。
早急に分別ルールの見直しを
「その他の紙」につて古紙業者の意見を無視する形で、市が「G30」をスタートしたことが、この混乱の原因です。まずは、早急に「その他の紙」の分別ルールを見直すべきです。
「G30」は、ごみ収集量(主に焼却ごみ)を平成13年度の実績に対して30%削減するという計画ですが、資源として収集したものが、実際にどれだけ資源化されたかは検証されていません。横浜の焼却ごみを減らすことだけが目的化しているのではないでしょうか。
横浜市は、紙製容器包装については容器包装リサイクル協会には委託せず、集団回収と行政回収を併用した独自の方法を採りました。容器包装リサイクル法による分別収集は、市町村の負担が大きいなど問題が多いものです。市民に根づいていた集団回収を活用したことは評価できますが、それならば、古紙業者と協議して、確実に再生紙の原料として資源化できるものから取り組むべきです。