肝心な点はすべて検討中
敷地内私道の公道化、通り抜け道路の設置、エレベーター・ブリッジの整備・開放、貴賓館の保存など、周辺住民から要望の多かった事項は、一応計画に盛り込まれています。しかし、エレベーター・ブリッジの管理運営にどのくらい費用がかかり、誰が負担するのかなど、参加者の一番知りたい点は、検討中ということで曖昧なままでした。交通渋滞、災害対策、地下駐車場建設の安全性など、周辺住民への影響が懸念される点についても、十分な説明がないことに参加者の不満が募りました。高齢者施設等についても具体的な計画は示されませんでした。
また、この開発による人口増をどのくらいに想定しているかという質問に対して、これも検討中で答えられないという回答でした。30代から40代のサラリーマン世帯の入居が予想されますが、小中学校の整備、通勤通学路・JR磯子駅の整備など、市民生活への大きな影響は必至であり、あまりにもおざなりの説明でした。
都市計画は誰のもの?
この説明会の後、地区計画の決定と風致地区の変更を盛り込んだ都市計画提案書を横浜市に提出して、約1年後に建築確認・着工と考えているということです。地区計画を定めることで将来の乱開発を防げる、風致地区の線引きの変更で緑地面積が増えると言っていますが、開発計画に合わせた地区計画であり、風致地区の高さ制限をはるかに越える建物を認める悪しき前例になると、参加者から厳しい指摘がありました。
企業が行なう開発ですから、開発コストとマンション分譲価格との関係の中で、計画が決められることは避けられません。都市計画提案に際しては、提案区域内の土地所有者等の2/3以上の同意(人数及び面積)が条件となっていますが、新たな開発の場合、土地所有者は業者であり、「周辺環境等への検討」および「周辺住民等への説明」に関する資料は、提出に必要な書類とはなっていますが、住民同意が必要な事項ではありません。説明会がアリバイづくりにならないよう、今後も注目していきたいと思います。