育鵬社の教科書は不採択となったが、もっと開かれた議論が必要!

8/4に教科書採択のための教育委員会が開催されましたが、インターネット中継でその模様を視聴しました。注目された来年度から使用される中学校の歴史と公民の教科書について、「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社は選ばれませんでした。育鵬社の教科書については、「過去の戦争を正当化している」「個人の権利より義務を強調している」など批判が多かったにも関わらず、前回の採択の際には校長や保護者をメンバーとする教科書取扱審議会の答申を覆して、歴史と公民で採択されました。今回は全教科で審議会の評価が一番高かった教科書が採択されました。

最初に審議会の8項目の評価が報告され、手を挙げた委員が意見を述べます。歴史については、森、中村両委員が東京書籍と帝国書院を推奨、大場委員は戊申戦争のときの中島三郎助の話を持ち出し、「多面的・多角的なものの見方」という点から学び舎と育鵬社の名前を上げました。審議会の評価は帝国書院7、東京書籍6に対して育鵬社は2でしたが、投票結果は帝国書院4、育鵬社2でした。公民については、審議会評価は東京書籍6、帝国書院5、日本文教出版5に対して育鵬社は1でした。委員の意見としては、東京書籍、日本文教出版を押す声が多く、育鵬社については「古い感性」などマイナス意見が2件ありました。投票結果は東京書籍5、育鵬社1でした。

運動を続けてきた市民団体等は、ひとまずほっとしているところだと思いますが、すべての委員がそれぞれの教科書について意見を述べるわけではなく、しかも無記名投票では、不透明な決定と言わざるを得ません。そもそも5人の教育委員と教育長で一つの教科書に決めることがナンセンスです。さまざまな考え方があることを知り、議論することが教育の基本です。学校ごとに先生や生徒、保護者、市民が自由に議論できることが大切だと考えます。