新たな図書館ビジョン?
横浜市は「図書館ビジョン(仮称)」を今年度中に策定するとして準備を進めています。これに対して市民有志による「図書館ビジョン学習会実行委員会」が発足し、昨日2回目の学習会が開催され、財政局の職員から横浜市の財政状況と今後の見通し、公共施設等の現状と今後の再編整備方針について聞きました。人口増加ペースの鈍化と高齢化により税収の増加は期待できない。一方で高齢者福祉、子育て支援などの社会保障費の支出は増大する。また公共建築物やインフラ施設は老朽化し保全更新にコストがかかる。公共建築物については、2065年度には2021年度末より総床面積で1割縮減を目標とする。再編整備の主な手法は、多目的化、複合化、集約化である。ということです。
第1回の学習会では、市が実施したアンケート調査の結果が資料として提示されました。対象は、①子育て世代 ②15才以上の図書館利用者 ③団体利用者・ボランティアの3者です。①の主な要望は、「子どもから大人まで談笑しながら利用できる環境」「子どもが遊べるスペース」「身近な場所での本の貸出・返却」が多く、②③では「静かに調べものや読書ができる環境」「所蔵資料(図書・雑誌・新聞)の充実」「身近な場所での本の貸出・返却ができるサービスの充実」が多くを占めています。当然の結果だと思います。横浜市の図書館は各区に1館しかありません。磯子区と人口数が近い鎌倉市では、図書館が5館、蔵書数は磯子区の153,775に対して638,208と4倍以上です。アンケートの取り方から、市長の「子育てしたいまち」という基本戦略にリンクさせようという意図が見えるように思います。
地域には小中学校の図書室のほかに地区センターやコミュニティハウスには図書コーナーがあります。それらの内容を充実させ、図書館とのネットワークをつくることができるはずです。さらに地域ケアプラザなどの活用も可能だと思います。今流行りの子どものスペースなどを含む多目的な立派な複合施設を建てなくても市民のニーズに答える手法はあります。図書館機能も子育て支援サービスも身近な生活圏内にあることが重要です。
市は12月に素案を発表してパブリックコメントを募るということですが、素案をつくる前に検討内容の情報を公開し、市民と意見交換する機会を持つべきだと考えます。