米政府は飲料水のPFAS基準値を強化、日本政府も早急に!

米環境保護局(EPA)は10日に、人体に有害な有機フッ素化合物(PFAS)の飲料水における含有量ついて法的拘束力のある基準値を定めました。これまでは州レベルの規制でしたが、連邦政府が強制力のある基準を決めるのは初めてです。特に有毒なPFOSとPFOAの基準値を1リットル当たり4ナノ(10億分の1)グラムとし、強制力のない目標値はゼロとしました。日本では両物質の合算で50ナノグラム/ℓが暫定基準値で、アメリカの10倍以上です。

横浜市のホームページには、「国の調査では、動物実験や海外での事例により、有機フッ素化合物を継続的に多量に摂取した場合、発がん性や甲状腺異常などの健康影響の可能性が報告されていますが、国際的にも科学的な知見が不十分です。国においても、引き続き毒性評価の情報収集、検出状況の把握を進めることとしています。なお、環境省が作成した『PFOS、PFOAに関するQ&A(令和5年7月)』によると、国内において、有機フッ素化合物の摂取が主たる要因とみられる個人の健康被害が発生したという事例は確認されておりません。」と記載されています。PFASは水や油をはじき、熱に強いなど利便性の高い性質により、消火剤や焦げ付きにくいフライパンなど、市民生活に身近なところでさまざまな製品に使われています。しかし「永遠の化学物質」と言われ、自然界に流出するとほとんど分解されません。日本でも各地の米軍基地や化学工場の周辺で暫定基準値を超える汚染が報告されています。健康被害が確認されてからでは、取り返しのつかない環境汚染になります。

2016年ごろから沖縄の米軍基地周辺では泡消火剤によるPFASの流出が問題になっていました。しかし、日米地位協定によって米軍基地への立ち入り調査ができず、汚染源は特定できないということになっています。厚木や横須賀、横田などの米軍基地周辺でも同様な事態になっています。一方アメリカ国内の基地では、汚染浄化や情報公開が進んでいます。今回の米連邦政府の決定を受けて、日本政府は米軍基地への立ち入り調査、情報開示を強く求めるべきです。このように日米が対等な関係でない状況下で、岸田首相は渡米して、日本をアメリカのグローバル・パートナーと位置付け、日米一体化した軍備強化を約束してきました。どこを向いて政治を行っているのか、危ういと言わざるを得ません。