CO2削減と脱原発について考える
昨年12月に開催された国連の気候変動会議「COP28」で、日本は「化石賞」を受賞しました。4回連続の不名誉な受賞です。受賞理由は、化石燃料発電への依存度が高く、公的資金を拠出して進めている石炭火力に水素やアンモニアを混ぜて温室効果ガスの排出量を削減するという政策では全く不十分だと評価されたためです。横須賀市に新設された石炭火力発電所では、昨年6月に1号機が、12月には2号機が営業運転を開始しました。化石賞にふさわしいと言わざるを得ません。CO2削減対策としては、政府は原発の再稼働・新設を進めようとしています。COP28でもアメリカ主導で原子力が化石燃料の代替手段の一つと明記され、核不拡散の視点からも危うい状況になっています。
一方で、日照時間が長くエアコンを使わない春や秋には、太陽光による発電量が増えるが、電力需要が減るために、東電エリア以外で出力抑制が行われる事態になっています。電気は需要と供給のバランスが崩れると大規模停電になることがあります。そのために需要が低下しそうなときには、再生可能エネルギーなどの発電施設を制御して供給を減らします。一度稼働し始めた原発が出力抑制するのは困難であり、再エネが出力抑制の対象になります。原発の推進は再エネの普及を妨げることになります。
原発の高レベル放射性廃棄物の最終処分場については、現在北海道の寿都町と神恵内村で文献調査が行われています。佐賀県の玄海町では、文献調査受け入れを要望する請願書が市民団体からが提出され、これに対して近隣自治体の市民からは反対の声が上がっています。文献調査に20億円、概要調査に70億円という交付金で過疎の自治体の受け入れを促す手法は、地域社会を分断し市民を疲弊させます。原発新設となれば、さらに混乱が予想され合意形成は不可能です。
政府は送電網の整備、大型蓄電池の導入など、再エネが優先されるシステムづくりにもっと積極的に取り組むべきです。世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約2割が日本の周辺で起きているという地震大国で、安易に原発を推進すると、取り返しのつかない事態になります。