18歳選挙権、高校生の政治活動の制限に思う ―政治を日常生活の場に―

公職選挙法改正で選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられ、今年7月の参議院選挙から適用されます。

これを受けて文部科学省は昨年10月、高校生の選挙運動や政治活動について、校内では原則禁止、校外では「家庭の理解の下、生徒が判断し、行うもの」とする通知を出しました。しかし、この通知の解釈につて自治体などからの問い合わせに答えるために、生徒指導関係者向けの「Q&A」を配布し、放課後や休日に校外で行う政治活動を届け出制にすることを容認する方針を示しました。

横浜市教育委員会に尋ねたところ、今のところQ&Aを各学校に配布し、各学校の判断に任せるとのこと。神奈川県教育委員会は検討中という回答でした。市や県の今後の動きについても注視していきたいと思います。

届け出制については、憲法などで保障された政治的諸権利を侵害するものとの指摘もあります。生徒の主体的活動にブレーキをかけることになりかねません。政治活動とは、自らを取り巻く課題を解決するために、国や自治体の制度、それを決める議会に関心を持ち、自分の意見を表明したり、仲間に働きかけて課題解決を図るための行動を行うことです。生活の課題は政治につながっており、いじめや不登校、アルバイトの待遇など、高校生が当事者として自らが考え発言すべき政治課題はたくさんあります。安全保障法制や憲法、TPPなど、将来の国の形を左右する問題についても、最も関係するのは若者のはずです。

校内であれ校外であれ、日常の会話のなかで政治について自由に語り合ったり、自ら学習や討議の場を設けたりすることは、成熟した民主主義社会には不可欠です。この問題についても、ぜひ当事者である高校生に大いに議論をしてほしいと思います。

政治活動を制限して模擬投票や模擬議会を進めても、主体的に考え行動する主権者・市民は生まれないと考えます。18歳選挙権を契機に、政治を日常生活のなかに取り込む文化を醸成していきたいものです。