出産費用の助成について考える

山中市長が市長選で掲げた公約「出産費用ゼロ」に向けて、18日の常任委員会で2024年度予算案で何らかの経済的支援を示すという方針が表明されました。

国は2023年4月から出産育児一時金を42万円から50万円に引き上げました。市の調査では、入院料、分娩料、食事料といった基礎的費用について市内施設の約9割で50万円を上回っていて平均約55万円ということです。

これに対して、支援額が増えると施設側の費用も値上げになるのではないかという懸念があります。これまでも出産育児一時金が増額されると出産費用も値上げされるということが繰り返されてきました。また、国では保険適用について2026年度開始を目途に検討しています。出産費用は医療機関等によって異なりますが、市民には適正な価格がいくらなのかわかりません。より公平・公正な負担を考えると保険適用がいいのではと思います。フランス、ドイツ、カナダ、韓国などでは保険適用されています。しかし、正常分娩は治療ではないという理由で、今は出産育児一時金の対象となっている助産院に適用されないのではという懸念があります。

そもそも分娩ができる施設が少ないという問題もあります。磯子区では汐見台病院とサンマタニティクリニックだけです。

出産前後の支援も大切です。横浜市には産前産後ヘルパー派遣事業があります。心身の不調等があり、日中の家事・育児を行う者が他にいない場合に利用できますが、上の子どもの保育園や幼稚園の送迎には保護者が赤ちゃんを連れて同行することが求められます。育児支援は保護者と赤ちゃんが一緒にいる場所に限られています。ヘルパーと赤ちゃんだけで留守番している間に病院や美容院に行くこともできません。使い勝手が悪いことが問題です。

市長選の公約にとらわれず、妊娠・出産から育児までの支援をトータルにとらえて、国の動向も見据えながら、優先順位をつけて検討を進める必要があると考えます。